高リスク高血圧例に対する積極的降圧の有用性を示したSPRINT試験だが、この試験における血圧測定は一般的に、「医療機関において、医療従事者が立ち会わない環境下で自動測定」と理解されている。これに対し「誤解だ」と声を上げたのが、SPRINT試験実施委員会の一員であるKaren C. Johnson氏(テネシー大学、米国)だ。SPRINT試験の実施手順書には、血圧測定時の医療従事者立会いに関する記載はなく、事実、約半数の施設では、血圧測定時、医療従事者が立ち会っていた。そして医療従事者の立会いの有無は、血圧、臨床転帰のいずれにも影響を及ぼしていなかった。
今回の調査は、SPRINT試験終了直後、Johnson氏が参加施設に問い合わせた結果に基づいている。その結果、「血圧測定」「測定間休息時」のいずれも、医療従事者が立ち会わなかった施設は43%、逆にそのいずれにも立ち会っていた施設が28%、「測定時のみ立会い」が22%、「休息時のみ立会い」が7%だった。
そこでこれら4パターンの施設別に血圧の推移を比較してみた。しかし4パターン間に差はなかった。SPRINT試験「通常降圧」群と「積極降圧」群の血圧差も4パターン間で同等だった。
次に、「積極降圧」群における「CV死亡・急性冠症候群・脳卒中・心不全」(1次評価項目)の減少率を、「常に立会い」施設と「常に非立会い」施設間で比較した。しかし、両群のイベント減少率に有意な異質性は認められなかった。「総死亡」の減少率で検討しても同様だった。
「SPRINT試験において、血圧測定時における医療従事者立会いの有無は、さほど重要ではなかった」とJohnson氏は述べた。