ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)は著明に肥大した前立腺にも施行可能な経尿道的核出術である
経尿道的前立腺核出術(TUEB)の適応はHoLEPと同様で,通常のTURisシステムを利用した経尿道的核出術である
光選択的レーザー前立腺蒸散術(PVP)は,出血のリスクは低く,リスクのある症例でも安全に施行可能である
前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)に対する治療の第一選択は薬物療法である。近年のα1遮断薬や5α還元酵素阻害薬などの薬物療法の進歩により,多くの患者が手術療法を回避できていると考える。しかしながら,薬物療法で十分な効果が得られない場合には,今なお手術療法も重要な選択肢の1つである。外科治療は,①組織の切除(resection)や核出(enucleation)あるいは蒸散(vaporization)を主体とする方法,②高温度凝固による組織の熱凝固・変性を主体とする術式,③尿道ステントなど,そのほかの術式に大別される。従来から行われている経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of the prostate:TURP)は現時点でも施行件数が最も多く,標準治療の役割を担っている。しかし,治療に伴う出血や灌流液による低ナトリウム血症(TUR症候群)などの合併症リスクがあり,高齢者や併存症・合併症を有する症例に適応困難な場合もある。このような手術侵襲を回避するためホルミウムレーザー前立腺核出術(holmium laser enucleation of the prostate:HoLEP)やバイポーラによるTUR(transurethral resection in saline:TURisR),さらに,経尿道的前立腺核出術(transurethral enucleation with bipolar:TUEBR)が開発され,2011年より保険収載された光選択的レーザー前立腺蒸散術(photoselective vaporization of the prostate:PVP)などが近年普及している。本稿では,近い将来,TURPに代わる治療として期待されるHoLEP,TUEB,PVPの3つの手術法について概説する。
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