医療事故調査制度について厚生労働省の名越究医療安全推進室長は18日、センター調査の報告書について「公表するという議論はない」と述べ、省内で報告書の公表に向けた検討はしていないことを明らかにした。同日、省内で開かれた事故調に関する記者勉強会で発言した。
医療事故が発生した際に医療機関は院内調査を行うが、当該医療機関または遺族の依頼があれば、事故調の第三者機関である「医療事故調査・支援センター」が再調査を行う。センターの調査報告書は遺族と医療機関にのみ交付するが、センターを運営する日本医療安全調査機構は昨年8月、センター調査による再発防止策は貴重な提言であるとして、将来的にセンター調査の結果について個人情報を伏せた上で公表するよう厚労省と議論する意向を表明していた。
これに対し、日本医療法人協会医療安全部会は翌月に反対の声明を発表。センター調査は院内調査の検証業務であり、そこで得られた情報についても「その共通課題を見つけることがセンター業務。厳格に医療法に従った活動を行うべき」と訴えていた。
記者勉強会の中でセンター調査の報告書を公表する可能性について問われた名越氏は、「センター調査をどう活用するかは、医療安全調査機構にとっても医療界にとっても大事な問題」と説明した上で、「センター調査の生かし方については引き続き議論するが、いずれかの段階でセンター調査を(個人情報を伏せて)そのまま出すという議論には現在(省内で)なっていない」と述べた。