静脈麻酔薬の効果は個人差が大きく,術中覚醒が起こりうるため,鎮静度モニタリングが必須となる。2014年に改訂となった「安全な麻酔のためのモニター指針」1)にもその必要性が記載された。鎮静度に関してはbispectral index(BIS)に始まり,近年ではpatient state index(PSI)という新たな指標も提唱された。特徴は,SedLine® EEGセンサー(Masimo Corp.)を用いて左右4つのチャネルから前頭葉および前頭前野の脳波データを収集して催眠から覚醒レベルの状況を検知し,患者状態指標を算出する点である。しかし,PSI値は灌流,薬剤,刺激(筋電図,ノイズ等)および温度に影響される。
そこで,さらに2つの指標,density spectral array(DSA)およびspectral edge frequency(SEF)によって総合的に鎮静度を測定できるよう設定された。前者は,脳波波形だけでなく,その成分の時間経過での占拠率の変化を表示する。つまり,麻酔量の変動と時間変化の関係を確認できる。後者は,低域の脳波から数えて全パワーの95%に達した周波数を測定でき,低値ほど鎮静度が高いことがわかる。
これらをもとに,Root® with SedLine®モニターを用いてオールインワンで総合的に鎮静度を確認できる。
【文献】
1) 日本麻酔科学会:安全な麻酔のためのモニター指針. 2014. [http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/monitor3.pdf]
【解説】
枝長充隆 札幌医科大学麻酔科准教授