国の『高齢社会対策大綱』にも盛り込まれた「介護離職ゼロの実現」。仕事との両立を含む持続可能な在宅介護について、個別性重視の在宅医療を実践する髙瀬義昌氏に話を聞いた。
医療・看護・介護・行政などのチームによって、患者さんとその家族の個別の状況に合わせた最適な療養生活を組み立てられるかどうかがカギとなります。当クリニックでは、患者さんの状態や家族の要望に合わせた適切でムダのない介護サービスの提供がなされるように、在宅介護サービス事業者とも密に連携しています。
患者さんを取り巻く専門職は在宅医のほかに、ケアマネジャー、ケアワーカー、訪問看護師、訪問薬剤師など。加えて、訪問歯科医による口腔ケアや理学療法士によるフレイル予防を行う場合もあります。これらには、日々のケアやトレーニングが求められるため、生活様式の変容や自発的な活動を促す必要があり、サービス提供側のカウンセリング能力やコーチング能力が重要になってきます。
各職種のスキルの違いも患者さんに大きく影響します。例えばケアマネジャーにしても、ちょっとしたプラスアルファのサービスを何気なく提供できるかどうか、「このままの状況で放っておいたら危ない」といった場面に気づき、リスクマネジメントできるかどうか。それができる人と組めれば、ケアサイクルはうまく回ります。そうして医療とケアマネジメントの両方が、歯車が噛み合うように回り出すことで、安定した在宅療養が持続するのです。