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(2)前縦隔に生じやすい病変[特集:縦隔腫瘍 診断の進め方]

No.4899 (2018年03月17日発行) P.30

小澤良之 (名古屋市立大学大学院医学研究科放射線医学分野講師)

登録日: 2018-03-16

最終更新日: 2018-03-14

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前縦隔に生じやすい病変の画像所見は類似しているものが多いが,鑑別に有用な画像所見や臨床所見がある

前縦隔病変の代表は胸腺腫だが,その画像所見は多彩である

画像所見と臨床所見とを併せた系統的な診断法を概説する

1. 前縦隔に発生する腫瘤

縦隔区分には様々な区分があるが,主たるものにFelson区分(前縦隔,中縦隔,後縦隔),日本胸腺研究会(Japanese Association for Research of Thymus:JART)区分〔縦隔腫瘍取扱い規約(第1版)〕(縦隔上部,前縦隔,中縦隔,後縦隔)1),International Thymic Malignancy Interest Group(ITMIG)区分(前縦隔,中縦隔,後縦隔)2)がある。縦隔区分に言及する場合は,どの区分を用いているかを把握しておく必要がある。

前縦隔と言っても使用する区分によって該当領域が多少異なるが,前縦隔に発生する腫瘤としては,①胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫,胸腺癌,神経内分泌腫瘍),②悪性リンパ腫,③胚細胞性腫瘍,④嚢胞病変,⑤胸腺過形成,⑥縦隔内甲状腺腫などが挙げられる。

胸腺上皮性腫瘍は,胸腺腫,胸腺癌,神経内分泌腫瘍に大別され,特に胸腺腫は成人の前縦隔腫瘍の中では最多である3)。好発年齢は50~60歳代で,特に性差はない。症状は無症状なことが多いが,20~30%の症例には咳嗽,胸痛,呼吸苦,嚥下困難や上大静脈症候群などの腫瘍からの圧迫による症状が認められる。胸腺腫の30~40%が傍腫瘍症候群をきたすことが知られており,重症筋無力症を代表として低ガンマグロブリン血症,赤芽球癆などがある3)4)。胸腺腫は被膜に包まれた限局性腫瘤として認められるが,約1/3は被膜浸潤や周囲臓器へ浸潤する場合があり,この場合,浸潤性胸腺腫と呼ばれる。さらには胸膜や心膜播種,稀に遠隔転移することがある5)

世界保健機関(World Health Organization:WHO)分類で,1999年に胸腺腫は,組織学的に上皮細胞の形態とリンパ球の比率によりtype A,AB,B1,B2,B3,Cに分類され,2004年にtype Cは胸腺癌として分離された5)。これは2015年のWHO分類でも踏襲されている。胸腺癌は胸腺上皮性腫瘍の20%を占め,浸潤性胸腺腫よりも浸潤性が強く転移しやすい。胸腺腫のように傍腫瘍症候群を示すことはほとんどない。神経内分泌腫瘍は稀であるが,クッシング症候群や多発内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)1型,2型に関連して認められることがある3)

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