2018年1月24日から2日半,米国ロサンゼルス・コンベンションセンターにて,国際脳卒中学会(ISC)が開催された。本年も昨年と同様,急性期治療に関する多くの新知見が報告された。ここでは併せて,慢性期治療に関しても興味深いと思われる報告をご紹介したい。
無症候であれば臨床上あまり問題視されない単純性腎囊胞だが,腎囊胞を認めない例に比べ脳卒中リスクが約2倍増加する可能性が示された。エラスムス大学(オランダ)のSanaz Sedaghat氏がロッテルダム地域(オランダ)の住民を追跡した結果,明らかになった。
同氏らは2009年から14年にかけ,同地区の45歳以上の住民2984名に腎エコーを行い,その後の脳卒中・一過性脳虚血(TIA)発症との相関を検討した。すると腎囊胞を認めなかった群(2281名)に比べ,単一の単純性腎囊胞を認めた群(506名)では,脳卒中オッズ比が1.72〔95%信頼区間(CI):1.10~2.69〕,複数認めた群では2.29(95%CI:1.32~3.98)といずれも,有意な上昇を認めた〔年齢,血圧,BMI,喫煙,心血管系(CV)イベント既往,糖尿病,腎機能で補正後〕。
さらに腎囊胞の数が増えるほど,脳卒中リスクが上昇するという有意な相関(P=0.004)も認められた。一方,TIA発症リスクと腎囊胞の有無には,有意な相関を認めなかった(表1)。多発性囊胞腎では合併症として脳動脈瘤が知られているが,今回認められた脳卒中115例のうち98例は脳梗塞だった。Sedaghat氏は現在,脳梗塞増加の発症機序を探るべく,脳卒中診断時の画像データの検討を進めているという。
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