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被ばく医療の現状 【緊急被ばく医療体制に災害医療のエッセンスが取り込まれた新体制を構築】

No.4903 (2018年04月14日発行) P.59

山口芳裕 (杏林大学医学部救急医学教授)

谷川攻一 (福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター センター長)

登録日: 2018-04-11

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  • 原子力発電所再稼働の動きが進む中,被ばく医療が現在どうなっているのか,教えて下さい。福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター・谷川攻一先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    山口芳裕 杏林大学医学部救急医学教授


    【回答】

    2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故は,自然災害に伴って甚大な原子力発電所事故が発生するという人類史上初めての複合型災害でした。福島では避難区域の設定や放射線の影響により初期被ばく医療機関を含めて地域の医療機能が著しく低下し,病院や介護福祉施設の避難に際して人命が失われました。

    こうした反省から,事故後にわが国の原子力災害医療体制は,全国レベルで刷新されました。まず,地域レベルでは原子力災害拠点病院が指定されることになりました。原子力災害拠点病院は,放射線物質汚染の有無にかかわらず重篤な負傷者の受け入れや被ばく患者への医療提供,原子力災害医療支援チームの派遣など前線での中核的医療機関となります。また,複合型災害を想定して,原子力災害拠点病院の要件として災害拠点病院であることが推奨されています。

    次に,原子力災害拠点病院を支援する機関として原子力災害医療協力機関があります。被ばく傷病者や被災者の初期診療・救急診療や放射線検査などを提供しますが,原子力災害時に特有なニーズにも対応できるよう,職能団体や企業も指定することができます。

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