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(1)在宅における尿路感染症の診断とピットフォール[特集:在宅診療特有の尿路感染症診療]

No.4903 (2018年04月14日発行) P.28

高山義浩 (沖縄県立中部病院感染症内科,地域ケア科医長)

佐々木 淳 (医療法人社団悠翔会理事長,診療部長)

小松裕和 (JA長野厚生連佐久総合病院地域医療部副部長,地域ケア科医長)

登録日: 2018-04-13

最終更新日: 2018-04-11

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尿の性状だけで尿路感染と決め打ちしていると,他の感染症を見逃すことにもなりかねない。問診によって裏付けをとり,身体診察によって感染臓器に目星をつけることが必要である

在宅医療の現場で実施できる臨床検査は限られている。在宅現場で実施できる尿試験紙による定性検査は,その特性をふまえて積極的に活用したい

抗菌薬を適正に選択する上で,起因菌の同定と感受性の確認は重要である。必要に応じてグラム染色を行い,培養検査を提出することも検討する

1. 在宅医療に求められる「暮らし」を前提とした総合的視点

地域包括ケアシステムの一端を担う在宅医療において,期待される医師の役割は多岐にわたっている。呼吸不全や心不全,腎機能障害,認知症といった多様な病態への対応から,栄養管理,排泄管理,リハビリテーション,緩和ケアといった総合的なアプローチについても求められる。また,在宅医療はチーム連携によって実現されるものであり,他の職域についての理解も不可欠である。

在宅医療における感染症診療についても,常に総合的な視点が求められる。病院医療との最大の違いは,そこに「暮らし」があるということだ。治癒よりも生活が優先されることすらある。炎症臓器と起因菌を同定して,速やかに感染症を制するだけでなく,限られた医療リソースの中で選択できる治療方針を家族と一緒に模索することも重要になる。

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