産業構造の流れとして,製造業,サービス業など多くの産業で,24時間連続の操業形態が広まりつつある。そのため,交替制勤務の健康影響を明らかにすることは,重要かつ身近な課題である。
交替制勤務と心血管疾患の関連性は継続して検討されている。日本人男性労働者約2万人における長期追跡調査では,交替制勤務の日勤に対する虚血性心疾患死亡リスクは2.3倍であった1)。欧米の大規模縦断調査では,交替制勤務や深夜勤務など非日勤勤務の心筋梗塞による入院リスクは,日勤に比し1.2~2.22倍との報告がある2)~4)。近年の約200万人を対象としたメタ解析の結果でも,日勤に比し,交替制勤務の心筋梗塞の発症リスクは1.2倍であった5)。
日本人男性労働者の縦断調査では,日勤に対する交替制勤務の高血圧発症リスクは1.1倍6),高血圧重症化リスクは1.2倍7)であった。血圧の相対的上昇リスクも日勤に比し約1.2倍8)と,一貫してリスクの上昇が認められている。
一連の調査結果は,早期発見のための健康診断の重要性を示すとともに,積極的な予防対策として,健康的な生活習慣を達成するための支援が交替制勤務従事者において非常に重要であることを示している。
【文献】
1) Fujino Y, et al:Am J Epidemiol. 2006.
2) Alfredsson L, et al:Int J Epidemiol. 1985.
3) Tüchsen F:Int J Epidemiol. 1993.
4) Kawachi I, et al:Circulation. 1995.
5) Vyas MV, et al:BMJ. 2012.
6) Sakata K, et al:J Occup Environ Med. 2003.
7) Oishi M, et al:J Hypertens. 2005.
8) Suwazono Y, et al:Hypertension. 2008.
【解説】
諏訪園 靖 千葉大学環境労働衛生学教授