高尿酸血症が認められる慢性腎臓病では,尿酸降下薬を投与すると腎機能が改善していくことがあります。「CKD診療ガイド2012」では痛風関節炎や痛風結節を認める症例では薬物治療の対象となり血清尿酸値6.0mg/dL以下で維持することが望ましいとされていますが,無症候性高尿酸血症で,血清尿酸値が9.0mg/dLを超えない症例では明確な基準は示されていません。慢性腎臓病患者における高尿酸血症についてどのように対応すべきか教えて頂ければと思います。また,現在の慢性腎臓病と高尿酸血症についての最新の研究と今後の課題についてもご教示願えれば幸いです。
奈良県立医科大学・仲川孝彦先生にご回答をお願いします。
【質問者】
淺沼克彦 千葉大学医学部附属病院腎臓内科教授
ご指摘のように,「CKD診療ガイド2012」によると,CKD合併の無症候性高尿酸血症で血清尿酸値が9.0mg/dL未満のケースに対しては「エビデンスはないものの薬物治療が考慮される場合が多い」となっており,その治療方法が明確に記載されていません。この問題に関して,最近のガイドライン(「CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017」)や「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 2012年追補ダイジェスト版」では,もう少し踏み込んだ記載になっています。それによると,CKD合併の無症候性高尿酸血症では,「血清尿酸値8.0mg/dL以上で薬物治療」とされています。さらに,CKDステージG3b〜5診療ガイドライン2017では治療目標が明示され,「6.0mg/dL以下を維持することが望ましい」とされています。一方,血清尿酸値が8.0mg/dL未満の症例に対しては生活指導のみとなります。したがって,CKD患者の場合,血清尿酸値8.0mg/dL以上で薬物治療を開始し,その目標値は6.0mg/dL以下を維持することとなります。
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