これまで日本呼吸器学会より成人の肺炎診療ガイドラインとして,「市中肺炎診療ガイドライン」「院内肺炎診療ガイドライン」「医療・介護関連肺炎診療ガイドライン」の3つのガイドラインが肺炎病型ごとに作成されていた。今回,肺炎という1つの疾患に対して,単純,かつ明快な統一ガイドラインをめざすべく『成人肺炎診療ガイドライン2017』が作成され,2017年4月発表された1)。
本ガイドラインは,近年の他ガイドラインと同様,医療情報サービスMindsの基準に準拠している。25のクリニカルクエスチョン(市中肺炎:12項目,院内肺炎&医療・介護関連肺炎:9項目,肺炎予防:4項目)を設定し,システマティックレビューにより判定したエビデンスの確実性と推奨の強さを,その決定過程も含めて明示している。これらの解析も含め,エビデンスと実地医療に即した指針を示した内容となっている。
これまで3病型に分類していた診療指針を,本ガイドラインでは市中肺炎と院内肺炎&医療・介護関連肺炎の2つに大別して提示している。院内肺炎と医療・介護関連肺炎は耐性菌のリスクなど共通する部分が多く,両病型とも終末期における肺炎を扱うことも共通の問題として提議され,指針が示されている。今後,本ガイドラインを基礎として,新たなエビデンスに基づく改訂により「成人肺炎診療ガイドライン」がさらなる進化を遂げていくことが期待される。
【文献】
1)日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2017作成委員会, 編:成人肺炎診療ガイドライン2017. 日本呼吸器学会, 2017.
【解説】
山田充啓 東北大学呼吸器内科院内講師