4月29日、日本呼吸器学会学術講演会でシンポジウム「COPDガイドライン改訂と今後の行方」が開催された。ガイドライン(第5版)は5年ぶりの改訂となる。
シンポではまず、柴田陽光氏(山形大)が定義の見直しについて説明。これまでのタバコ煙など有害物質による炎症反応に加え、非炎症性機転にも注目し、特に肺の発育障害を新たな病因として強調した。幼少期の肺へのダメージは成人期の肺の発育障害の原因となり、COPD発症の危険度を増加させる。また、多くのCOPD患者に認められる全身性炎症の考え方として、肺で産生された炎症性メディエーターの拡散によるとする説が提唱されていたが、身体活動性の低下そのものが関与している可能性を示した。
室繁郎氏(京大)が解説した「診断」の項目については、ほぼ旧版を踏襲する中で、身体活動性の評価法が追加された。歩数計や加速度計を用いて評価し、1日総歩数や種類別活動時間、強度別活動時間などが指標として用いられる。身体活動性については「治療と管理」の項目にもセルフマネジメント教育の重要性など、記載が追加されている。
治療については一ノ瀬正和氏(東北大)が、主に薬物療法の変更点について解説。これまでは、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の効果は同等とされていたが、新たなエビデンスが集積された結果、LAMAのほうがLABAよりも効果が強いことが報告された。単剤で効果がない場合はLAMA/LABA配合薬が用いられ、喘息病態が合併している場合は吸入ステロイド(ICS)が追加される。