慢性腎臓病(CKD)診療に携わる看護師、薬剤師、管理栄養士向けの新資格「腎臓病療養指導士」が創設され、第1回認定試験に合格した734人が4月から現場で活躍を始めている。保存期CKD患者に生活・服薬・栄養の包括的指導を行い、腎代替療法の選択肢(血液透析、腹膜透析、腎移植)の説明も担うという同資格の創設が持つ意味とは?資格創設において中心的役割を担った要伸也氏(杏林大教授)に創設の背景や今後の展望も含めて聞いた。
CKD診療はチーム医療で回していくものです。CKDの早期発見とステージG3aくらいまでの診療はかかりつけ医、さらに進めば専門医あるいはかかりつけ医との併診となりますが、どの段階をとっても、看護師、薬剤師、管理栄養士たちの知識と経験を生かした指導が必要になります。
資格がなくても療養指導はできますが、あればコメディカルにとってモチベーションアップにつながるし、結果的に診療水準が上がれば連携もしやすくなります。
資格創設の動きは10年程前からありましたが、本格始動したのは2年前(2016年)です。各職種を代表する日本腎臓学会、日本腎不全看護学会、日本腎臓病薬物療法学会、日本栄養士会の4団体で議論を重ね、各団体の既存の認定資格との棲み分けを図り、4団体の合同認定という形にしました。例えば、療養指導士になった看護師がもっと透析を勉強したいとなれば、日本看護協会の透析認定看護師を取ることもできます。逆に、各職種の専門資格を既に持っている人には軽減措置を設け、療養指導士を取りやすくしています。
この調整にかかる作業が制度設計で最も苦労した点ですが、団体トップの交流が深まったのは良かったと思っています。