厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」の合同会議は28日、今後の医学部定員について、2021年度までは現状を概ね維持し、22年度以降は「減員に向けた議論が必要」との暫定的方針を盛り込んだ報告書(第3次中間取りまとめ)案を了承した。減員の最終判断は、来年3月頃に結論が予定される医師の働き方改革の方向性も踏まえて行う。
医学部定員は2008年度以降、医師不足の改善を目的とする「地域枠」を中心に、過去最大規模(約1800人)の臨時増が図られてきた。一方、厚労省の推計では、18年度の定員(9419人)を固定し、働き方改革で医師の労働時間を制限した場合でも、全国レベルの医師需給は28~33年頃に均衡すると見込まれている。
これを受け、報告書案では「全国でさらに医学部定員を増員する必要はない」と指摘。2021年度までは都道府県・大学から暫定増の要望があっても「必要性を慎重に精査していく」とし、22年度以降については「減員に向けた議論としていく必要性がある」と整理した。
ただし、臨時増分の定員を削減する場合でも、地域間で医師偏在があれば「地域枠のニーズは残ることになる」として、地域医療の実情への配慮を求めた。
検討会の森田朗座長(津田塾大教授)は、会議の締め括りに「人口減少が進む中で、(定員削減の)方向性は現実的なもの」とした上で「(都道府県レベルなど)ミクロの医師需給の議論は不完全燃焼」と述べ、具体的な医師偏在対策の検討を続ける必要性を強調した。