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健診での尿蛋白±への対応は?

No.5078 (2021年08月21日発行) P.46

岩上将夫 (筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野)

岡田 啓 (東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・生活習慣病予防講座)

登録日: 2021-08-24

最終更新日: 2021-08-17

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  • 健診結果が尿蛋白±である場合の対応は経過観察でよいのでしょうか。
    東京大学・岡田 啓先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    岩上将夫 筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野


    【回答】

    【尿蛋白±は,予後悪化の懸念があり,精査考慮や注意喚起が必要である】

    わが国では,古典的に健診では尿蛋白+以上を異常値と見なしてきており,尿蛋白±に対しては自治体により対応が異なる可能性があるものの,経過観察となってきたことが多いと思われます。特定健診での尿蛋白±に対する判断も年度によって適宜改訂されています。たとえば,2013年度以前は同じ扱いで翌年の健診まで経過観察でしたが,2013年度からは尿蛋白±に関して医療機関を受診して尿の再検査が望ましいとされていました1)。2018年度より生活習慣の改善が望ましい2)と対応が変化してきています。なお,日本人間ドック学会では,-を正常,±と+を要注意,2+以上を異常と定義していますが,尿潜血反応も同時に見ていることが多く3),日本腎臓学会が腎臓専門医への紹介基準のひとつとしている4)「尿蛋白・尿潜血ともに陽性」をチェックできるものです。

    実際,日本腎臓学会は「CKD診療ガイド2012」の時点においては,尿蛋白±を慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の定義には入れていませんでしたが,2018年の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」から,尿蛋白±を蛋白尿分類のA2に相当する尿蛋白定量0.15~0.49g/gCrに匹敵しうるものとしています。

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