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【文献 pick up】尿中「Na/K」比が一般住民の腎機能低下リスク/速度と相関― Hypertens Res誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-09-27

最終更新日: 2023-09-27

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夜間蓄尿で評価したナトリウム(Na)/カリウム(K)比が、一般住民の腎機能低下リスク、低下速度と相関することが明らかになった。JA静岡厚生連遠州病院の髙瀨浩之氏らがHypertension Research誌で9月16日に報告した。

以前からNa摂取過多に伴う腎機能低下[Sugiura T, et al. 2018や尿中K排泄量高値に伴う腎機能維持[Kieneker LM, et al. 2016などは報告されていたが、NaK両者の関係を合わせた検討は初めてだという。

【対象】

今回の解析対象となったのは、遠州病院(静岡県)にて健診受診の、「推算糸球体濾過率(eGFR)≧60mL/分/1.73m2」(±アルブミン尿)だった連続登録1万4549名である。

平均年齢は51.1歳、男性が59.6%を占めた。

eGFR平均値は80.8mL/分/1.73m2、蛋白尿陽性例は1.8%だった。

また高血圧を23.1%に認め、糖尿病も7.7%、脂質異常症は41.0%に認められた。

【方法】

これら1万4549名を対象に、夜間尿で評価した観察開始時「NaK比」と、その後eGFRCKD相当値(<60mL/分/1.73m2)まで低下する(eGFR基準CKD)リスクとの相関を調べた。

【結果】

その結果、61.4カ月間(中央値)観察後、14.4%が「eGFR基準CKD」を呈した(25.9/1000人年)。

そこで観察開始時「NaK比」四分位群に分けて比較すると、四分位群が1つ高くなるに従い、「eGFR基準CKD」発生率は有意に高くなっていた。

さらに「NaK比」は、観察開始時の「年齢・性別」や「BMI」、さらに血圧などの各種「代謝指標」「喫煙」「蛋白尿」「eGFR」で補正後も、「eGFR基準CKD」発症の有意な予知因子として残った。

対数変換「NaK比」「1単位」高値に伴うハザード比は2.0195%信頼区間:1.66-2.45)である。

この結果は、高血圧合併の有無で分けて検討しても変わらなかった。

同様に高血圧合併の有無を問わず、eGFR年間低下速度も、観察開始時の尿中「NaK比」が高いほど有意に大きくなっていた。

【考察】

髙瀨氏らは尿中「NaK比」高低と腎機能低下の間には因果関係があると考察した上で、食事における「NaK比」が一般住民のCKD予防に重要な役割を果たす可能性を指摘している。

本研究著者たちに開示すべき利益相反はないとのことである。

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