労働者数50人未満の事業場を含めすべての企業にストレスチェックを義務づけることなどを柱とした労働安全衛生法等改正案が3月14日、閣議決定され、国会に提出された。十分な準備期間を確保するため、ストレスチェック実施義務対象の拡大は「公布後3年以内」に施行するとしている。
メンタルヘルス不調の未然防止を目的として2015年12月に導入されたストレスチェック制度は、50人未満の事業場については「当分の間、努力義務」とされていた。
しかし、労働政策審議会安全衛生分科会(分科会長:高田礼子聖マリアンナ医大予防医学教室主任教授)は1月17日に取りまとめた報告書で、労働者のメンタル不調を未然に防止することの重要性は「事業場規模に関わらない」と強調。ストレスチェックと医師の面接指導を実施する機会は「すべての労働者に与えられることが望ましい」とした。
懸念される労働者のプライバシー保護については「外部機関の活用」で対応可能と指摘し、原則として外部委託を推奨すること、50人未満の事業場には労働基準監督署へのストレスチェック実施結果の報告義務を課さないことを求めた。
福岡資麿厚労相は14日の閣議後会見で、中小企業が円滑にストレスチェック制度に対応できるようにするため、①高ストレス者の面接指導を無料で行う地域産業保健センターの体制整備、②中小企業向けマニュアルの整備─などの取り組みを進める考えをあらためて示した。