監修・著: | 山口武人(千葉県がんセンター 病院長) |
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編集・著: | 瀬座勝志(千葉メディカルセンター 内視鏡センター長) |
判型: | B5判 |
頁数: | 326頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2019年12月02日 |
ISBN: | 978-4-7849-4865-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
疾患編
1 上皮性腫瘍
A 外分泌腫瘍
漿液性囊胞腫瘍(SCN)
1 漿液性囊胞腫瘍(SCN)
粘液性囊胞腫瘍(MCN)
1 粘液性囊胞腫瘍(MCN)
column 01 MCN─multilocularとunilocular
膵管内腫瘍
1 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
column 02 EUS所見からみたIPMNの組織亜型分類
2 膵管内管状乳頭状腫瘍(ITPN)
浸潤性膵管癌(PDAC)
1 膵 癌
column 03 Stage0,1の膵癌をいかに診断するか
2 膵腺扁平上皮癌
3 退形成性膵癌
4 膵腺房細胞癌(ACN)
B 神経内分泌腫瘍(NET)
膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)
1 膵神経内分泌腫瘍(PanNEN)
column 04 造影ハーモニックEUS
C 分化方向不明な上皮性腫瘍
solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)
1 solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)
D その他
1 転移性膵腫瘍
2 悪性リンパ腫
3 膵リンパ上皮囊胞(LEC)
4 膵内副脾
5 膵動静脈奇形(AVM)
6 慢性膵炎
column 05 早期慢性膵炎
7 自己免疫性膵炎(AIP)
8 膵仮性囊胞(PPC)/被包化壊死(WON)
9 十二指腸乳頭部の神経内分泌腫瘍
傍神経節腫(paraganglioma)
十二指腸GIST
column 06 十二指腸憩室
リンパ管腫
2 胆道系疾患
1 胆囊癌
2 胆囊管癌
3 コレステロールポリープ
4 胆囊腺腫
5 胆囊腺筋症
6 IgG4関連胆囊炎
7 黄色肉芽腫性胆囊炎(XGC)
8 胆管癌
column 07 胆道鏡─ 肝門部胆管癌の進展度診断
9 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)
乳頭部腫瘍
IgG4関連硬化性胆管炎
Mirizzi症候群(胆囊管結石陥頓)
総胆管結石
膵胆管合流異常(pancreaticobiliary maljunction)
EUS 主要所見一覧
1 膵腫瘍(典型例)
2 膵充実性腫瘍(辺縁整,境界明瞭,膵管拡張なし)
3 膵多血性腫瘍
4 膵多房性囊胞
5 膵単房性囊胞
6 主膵管拡張
7 膵石灰化
8 有茎性胆囊腫瘍
9 広基性胆囊腫瘍
10 乳頭部腫瘍
11 胆管腫瘍(胆管癌)
近年,超音波内視鏡(EUS)は広く普及してきており,現在ではほとんどの基幹施設に導入されているものと思われる。また,EUS-FNAやインターベンショナルEUSなど,診断・治療への応用も目覚ましいものがあり,今後もその応用範囲はますます広がって行くものと考えられる。しかし,EUSがさまざまな面で進歩するにしても,その基本は超音波画像(EUS画像)による画像診断である。EUSによる診断範囲は胆道・膵臓が主であるが,初学者にとって正常な胆・膵の描出すら容易ではない。まして,疾患のある場合の描出と診断ができるようになるには,かなりの年月と経験が必要となることは致し方ないところである。
EUSに限らず,「画像診断による胆・膵疾患の鑑別診断は難しい」とよく言われる。他の臓器と比べ,胆道,膵に格別疾患の種類が多いわけではない。しかし,両臓器とも腹部の深くに位置していること,そして何より疾患ごとにみられる画像所見のバリエーションが多いことが診断を難しくしている原因であると思われる。胆・膵のEUS診断においてはまず,疾患の典型的EUS像を把握した上で,それぞれのバリエーションを理解することが重要である。バリエーションを理解する上で必要となるのは病理組織像であり,病理像を思い浮かべながらEUS画像の特徴を振り返ることが重要である。そして何より多くの症例を診断し,多くのバリエーションを経験することが必要である。
しかし,一人で多くの疾患,バリエーションを経験することは限界があり,EUSの経験が少ない初学者にとってはなおさらである。
EUSのテキストは,走査,描出法も含め,これまでにも素晴らしいものが出版されてきた。しかし,疾患のバリエーションに沿ったEUS像を多く扱ったテキストは稀であった。今回のEUSアトラスは,胆・膵疾患の典型的EUS像を基本とし,バリエーションを多く提示することに焦点を当てた。また,なぜそのようなバリエーションが生まれるかを理解するため,ほとんどの症例で病理所見を提示している。疾患の基本概念はEUS画像を理解するための必要最小限の記述にとどめ,さらに本文では記述が足りないトピック的な内容はコラムとしてまとめた。この『胆膵疾患EUSアトラス』が,EUSに携わる方々の診断の一助となれば幸いである。
本アトラスは,千葉メディカルセンター 内視鏡センター長 瀬座勝志先生の一方ならぬ熱意と努力がなければ生まれなかった。彼の尽力に感謝するとともに,ERCPの基本からご指導くださった,故 税所宏光先生に本書を捧げる。
2019年11月
千葉県がんセンター 病院長
山口武人