編: | 鍋谷圭宏 (千葉県がんセンター 診療部長(食道・胃腸外科)) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2022年02月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-5928-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
診療科: | 外科 |
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1 周術期管理とチーム医療
2 感染症対策と抗菌薬選択(COVID-19対策は除く)
3 周術期のCOVID-19対策
4 輸液・栄養・食事管理
5 麻酔・仏痛管理(PONV/POI対策含む)
6 専門的口腔管理
7 クリニカルパス
8 術後早期回復プログラム
9 高齢者とサルコペニア・フレイル対策
10 静脈血栓塞栓症対策
11 術後合併症など重症患者管理とICU
1 上部消化管外科
2 下部消化管外科
3 肝胆膵外科
4 呼吸器外科
5 心臓血管外科
6 小児外科
7 乳腺外科
8 整形外科
9 頭頸部外科
10 泌尿器科
11 産科
12 婦人科(悪性腫瘍手術)
13 内視鏡治療(ESD,POEM)
筆者が外科医として研修を始めた頃は,「外科治療の成績は,診断と手術手技で決まる」といった雰囲気で,特に術前の患者の全身状態への注意や栄養管理は,あまり重視されていなかったように思う。周術期管理は担当医ごとに異なり,医師以外の専門職の関与は少なかった。
しかし,研修医1年目に,千葉大学第二外科(現・先端応用外科学)の先輩である故・小越章平先生(高知医科大学)から,外科治療の成績向上のためには「周術期管理,特に栄養管理」と「多職種チーム医療」が必ず必要になると教えて頂き,当時発展途上であったこれらの分野に興味を持つようになった。その後,千葉大学で周術期管理を学び,栄養サポートチームを立ち上げることができたが,先達の教えと若い頃の経験は,“experience based medicine”として役立ったことも多い。
2000年代に入り,ランダム化比較試験で明らかになった“evidence-based medicine”に基づく周術期管理が多くの施設でクリニカルパスとして標準化され,術後早期回復を患者とともにチームで目指す“ERAS”(early/enhanced recovery after surgery)という概念も普及した。2020年からは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策も必要になり,今まさにwithコロナ時代の最新の周術期管理をチームで学ぶ必要性が極めて高くなったのである。そのために使いやすい書籍の発行は実にタイムリーで,編集の機会を頂いたことに深く感謝したい。
本書では,各診療科をローテーションする研修医や院内横断的なチーム医療に役立つよう,外科系の多くの診療科のエキスパートに,手術と周術期管理について主にevidence based medicineに基づき概説して頂いた。しかし,どの診療科でも,治療成績向上のためには,最新の知見を学び続けることに加え,experience-based medicine,つまり2つ目のEBMも積み上げていく必要がある。幅広い内容を簡潔にまとめたマニュアルとして,本書が各施設の周術期管理の進歩のために広く活用されることを願っている。
末筆ながら,COVID-19対策でご多忙の中,ご執筆いただいた先生方,そして編集にご尽力下さった荒井美幸氏はじめ日本医事新報社の諸氏に,心から御礼申し上げる次第である。