編著: | 本間 昭(東京都老人総合研究所参事研究員) |
---|---|
判型: | A5判 |
頁数: | 192頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2006年10月05日 |
ISBN: | 4-7849-5347-7 |
版数: | 第2版 |
付録: | - |
患者・家族への応対や病状説明を含め、かかりつけ医として必要になる認知症診療のノウハウをギッシリ詰め込んだ一冊です。
認知症を疑った場合の診察の手順、主治医意見書作成の際の留意点等が具体的に記述してあり、「認知症は専門外で苦手」と考えているかかりつけ医の方に、特に有用です。
成年後見制度等人権擁護に関する知識も網羅し、認知症患者をみる上で配慮すべき全般的事項を十分に解説しています。
介護保険が2000年に始まり、認知症に関する意識が高まったことは間違いがない。2003年には「2015年の高齢者介護」が厚生労働省老健局から示され、今後の新しいケアモデルとして認知症ケアが柱のひとつとして掲げられている。この中で要介護認定者のおよそ半数に認知症が疑われることが示されたが、改めて今後の高齢者医療・介護を考えていく上では認知症を避けて通れないことが明らかになったといえる。要介護認定者のほぼ半数が認知症と考えると現在では約200万人という数になる。しかし、最大の課題は、この中で医学的診断および治療を受けることができている認知症の人たちがどの程度なのかということであろう。その割合は示されていない。かかりつけ医は地域で認知症を最も早期に見出すことができる立場である。患者の家族からの、認知症に関する家族以外の相談先としては、かかりつけ医が最も多いことを考えれば、かかりつけ医に期待される役割は明確である。また、2006年の介護予防に軸足を置いた改正では地域支援事業が創設され、認知症予防・支援活動もプログラムのひとつとして加えられている。ここでも、認知症の前段階と考えられる特定高齢者の選定で、認知症の診断あるいは疑いがかかりつけ医に求められることはいうまでもない。2006年度からは厚生労働省によって、認知症診療に関してかかりつけ医をサポートする医師の養成が始められている。このようにかかりつけ医の認知症診療に対するニーズの高まりは今まででは考えられないものがある。むろん、認知症を取り巻く保健・医療・福祉・介護の課題は早期発見、早期対応に限られるわけではなく、課題は山積しているが、かかりつけ医による認知症の早期発見と早期の対応が地域で認知症を支える上で大きな役割を果たすことは間違いがない。本書では、認知症の医療に取り組もうとするかかりつけ医を対象として、如何にすれば外来診療で認知症に対する気づきを高めることができるかが中心に述べられている。日常診療の一助になれば幸いである。
2006年8月
本間 昭