編集: | 草野元康(群馬大学医学部附属病院光学医療診療部 准教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 176頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2011年10月05日 |
ISBN: | 978-4-7849-4087-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
■GERD(胃食道逆流症)+NERD(非びらん性胃食道逆流症)診療に必要な,定義,特徴,疫学,病態,症状,診断,検査,治療,予後についての知識を,最新エビデンスを踏まえつつ網羅的に解説。実践的な診療テクニックが学べます。
■同シリーズの「IBS(過敏性腸症候群)診療Q&A」「FD(機能性ディスペプシア)診療Q&A」と併せ,診察室にぜひ置いていただきたい書籍です。
GERD・NERDの定義
Q01 GERD,NERDとは何ですか?逆流性食道炎とは違うのですか?
NERDの特徴
Q02 NERDの特徴はどんなものですか? functional heartburnとの違いがわかりません。
GERD・NERDの疫学
Q03 日本人のGERD・NERDの疫学を教えて下さい。諸外国との違いはありますか?
GERD・NERDの病態
Q04 胃酸はどのような機序で食道内へ逆流するのですか?
Q05 食道のクリアランス機能について教えて下さい。
Q06 食道の粘膜防御機構について教えて下さい。
Q07 胸やけはどのように感じるのですか?食道の知覚について教えて下さい。
Q08 GERD・NERDの増悪因子としてどんなものがありますか?
Q09 H. pyloriを除菌するとGERD,NERDは悪化しますか?
GERD・NERDの症状
Q10 典型的な症状は胸やけ,呑酸だけですか?その他の腹部症状はありますか?
Q11 食道外症状にはどのようなものがありますか?睡眠障害との関連も教えて下さい。
GERD・NERDの診断
Q12 GERD,NERDはどのように診断しますか?
GERD・NERDの検査
Q13 問診や問診票の役割について教えて下さい。
Q14 内視鏡はどのような時に行いますか? 内視鏡分類は何を用いたらよいですか?
Q15 24時間食道pHモニタリング検査はどのような患者に行うべきですか?
Q16 食道内圧検査,インピーダンス法はどのような患者に行うべきですか?
GERD・NERDの治療
Q17 逆流性食道炎はすべて治療すべきですか? LA分類Grade Aで無症状の人はどうすればよいですか?
Q18 生活習慣の改善は有用ですか?患者にはどこまで指導すればよいですか?
Q 19 PPIからH2受容体拮抗薬へのstep down治療の是非は?H2受容体拮抗薬は効きませんか?
Q20 薬物治療はいつまで続けるのですか?
Q21 高齢者に対する薬物療法で注意すべき点は何ですか?
Q22 PPIは長期に使用しても安全ですか? 薬剤相互作用も教えて下さい。
Q23 胃切除術後の逆流性食道炎の治療は通常のGERD・NERDと同じですか?
PPI抵抗性GERDの治療
Q24 通常量のPPIで症状が消失しない場合の対処方法を教えて下さい。
Q25 GERDに対する内視鏡下治療にはどのような方法があるのですか?
Q26 どのような患者が外科治療の対象になりますか? その方法,予後についても教えて下さい。
GERD・NERDの長期予後
Q27 GERD・NERDの長期合併症や予後について教えて下さい。PEGはGERD・NERDに悪影響ですか?
Q28 わが国でもバレット腺癌は増えていますか? バレット食道のフォローや治療はどのようにしたらよいですか?
昨今,実地医家,消化器専門医を問わずGERD/NERDへの関心が高まっています。これは,GERD/NERD患者を日常的に診断・治療する機会が最近増えていることに他なりません。この理由として,H.pylori感染率の低下に伴う胃酸分泌の亢進および胃癌や消化性潰瘍の減少,食事の欧米化による高カロリー・高脂肪食や肥満の問題,本邦における人口構成の高齢化,現代のストレス社会など,まさにGERD/NERDの病因と考えられる様々な要因がすべて患者数を絶対的にも相対的にも増加させているからでしょう。
私たち医療側の変化も認められます。器質的疾患の絶対的な低下は先に述べましたが,GERD/NERDのような機能性消化器疾患でも患者のQOLを非常に低下させ,的確な治療が必要であることがわかりました。と同時に,各種のproton pump inhibitor(PPI)が開発され治療成績が著しく向上し,また腹腔鏡下の外科治療や内視鏡的治療も行われるようになり,本疾患に対して多様な治療が選択可能になりました。内視鏡機器の発達により粘膜傷害のみならず柵状血管やバレット粘膜など下部食道の状態が非常に観察しやすくなり,内視鏡医の関心が高まりました。また,食道pHモニタリングや食道内圧検査,さらにはインピーダンス法など食道機能検査も発達しています。すなわちGERD/NERDの診断から病態の解明,治療まで,医療レベル全体が飛躍的に向上していると言えます。
このような時代背景をふまえて,本書がIBS(過敏性腸症候群)・FD(機能性ディスペプシア,機能性胃腸症)と同時期に三部作として日本医事新報社から企画されたのはまさにタイムリーであります。本書の特徴として,ガイドライン作製に欠かせないCQ(clinical question)に対し,最新のエビデンスに基づき回答する形式が取られています。CQの作成は『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン』(日本消化器病学会編)にも携わった本学大学院病態制御内科,同附属病院消化器内科の若手医師らが中心となり,回答の執筆はわが国のこの分野における第一線の医師・研究者にお願い致しました。まだまだエビデンスの蓄積が不十分な分野もありますが,本書が先生方の日常臨床における疑問解決の一助になれば編者として幸甚であります。
2011年9月吉日
編者 草野元康