【質問者】
齋藤 滋 富山大学附属病院産科婦人科教授
抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid syndrome:APS)の改訂分類基準(2006年)では,「ループスアンチコアグラント(LA),抗カルジオリピン(aCL)IgG/IgM,β2GPI依存性抗カルジオリピン(aCLβ2GPI)IgG/IgMの抗リン脂質抗体(aPL)が,12週空けて2回以上陽性」が検査基準となっています。臨床所見は,血栓症と産科異常症として妊娠10週以降の胎児死亡,妊娠高血圧症候群や胎盤機能不全による早産,ないし10週以前の3回以上の習慣流産です。したがって,aPLを測定すべき対象は,10週以降の胎児死亡や2回以上の自然流産,ないし血栓症・妊娠高血圧症候群・胎児発育不全の既往か現症のある女性です。このほか,HELLP症候群,常位胎盤早期剝離,血小板減少の既往か現症,膠原病や梅毒血清反応の生物学的偽陽性の場合もaPL測定が推奨されます。しかし,不妊症やAPS家族歴だけでは測定は推奨されません。2回以上の生化学的流産や着床不全では,研究目的で同意を得て測定してもよいでしょう。
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