妊娠・出産はそもそも生理的な営みであり病気ではない。その一方で,わが国の妊産婦死亡率の推移は,1900年の10万人中約400人から2012年では約4人まで減少している。妊娠・出産への医療介入がそれに貢献していることは言うまでもない。ただし,適応のない帝王切開や誘発分娩など,過剰な医療の介入も問題であり,各々の妊婦に合わせた対応が望ましい。それには,妊婦のリスク評価が重要になってくる。妊婦のリスクとしては,①母体,②胎児,③それを取り巻く社会的環境,が挙げられる。
今も昔も,妊婦への問診がリスク評価には重要である。具体的には,妊婦の基本情報,既往歴,産婦人科既往歴,前回分娩歴によってリスク評価を行う。わが国では,2004年に厚生労働科学研究により,妊娠リスクスコアが提案され,4点以上をハイリスク妊娠とし,高次機能病院での妊娠および周産期管理が勧められている(表1)。