本年の米国心臓病学会(ACC)で報告されたCARES試験では、心血管(CV)疾患合併の痛風例において、フェブキソスタットのCVイベント抑制作用はアロプリノールに非劣性ながら、総死亡とCV死亡は有意に増加していた [White WB, et al: N Engl J Med. 2018; 378(13): 1200] 。わが国における、脳心腎リスクを有する高齢の高尿酸血症例ではどうだろうか。28日の「HOTLINEセッション4」で小島 淳氏(川崎医科大学)が、ランダム化試験“FREED”の結果を報告した。
FREEDの対象は、血清尿酸値が「7.0~9.0mg/dL」で、脳心合併症/リスク、あるいは直近3カ月間の推算糸球体濾過率(eGFR)が「30~60mL/分/1.73m2」だった、65歳以上の1070例である。上記CARES試験と異なり、痛風例は除外されている。平均年齢は76歳、血清尿酸平均値は7.5mg/dL、eGFR平均値は55mL/分/1.73m2だった。
これら1070例は、フェブキソスタット群と対照群にランダム化され、盲検化せず、最長36カ月追跡された(イベント判定者のみ盲検のPROBE法)。
フェブキソスタット群は生活習慣改善に加え、同剤を10mg/日から開始し、40mg/日まで増量を試みた。一方、対照群における介入は、原則的に生活習慣改善中心である。ただし尿酸値が上昇した場合、主治医の判断でアロプリノール100mg/日の開始も可能だった。最終的にアロプリノールを服用していたのは、27.2%である。
その結果、尿酸値は、フェブキソスタット群で有意に低下した(試験終了時:4.50mg/dL vs. 6.76mg/dL、P<0.001)。
また1次評価項目である「総死亡・脳血管障害・心筋梗塞/不安定狭心症・心不全入院・動脈疾患治療・腎機能低下・心房細動新規発症」のリスクは、フェブキソスタット群で有意に低くなっていた(23.3% vs. 28.7%、ハザード比 [HR] :0.75、95%信頼区間 [CI]:0.59-0.95)。
カプラン・マイヤー曲線は、両群とも試験開始後約10カ月と23カ月の時点でイベント発生が著増しており、階段状に上昇していた。
さて、これら1次評価項目の内訳を見ると、両群とも腎機能低下(アルブミン尿増悪、血清クレアチニン値2倍化、末期腎不全移行)が約7割を占めていた。そしてフェブキソスタット群で有意に低下していたのは、この「腎機能低下」のリスクだった(16.2% vs. 20.5%、HR:0.75、95%CI:0.56-0.99)。一方、脳心血管系のハードエンドポイント(死亡・脳血管障害・心筋梗塞/不安定狭心症)の発生率は、フェブキソスタット群:4.3%、対照群:4.9%で、両群のリスクに差はなかった(HR:0.86、95%CI:0.49-1.51)。
指定討論者であるPaul M Ridcker氏(ハーバード大学、米国)は、尿酸高値は痛風や心血管系イベントリスク上昇の「マーカー」であり「ファクター」ではないことが、これまでのエビデンスから明らかになっていると指摘した上で、FREEDは、尿酸高値が腎機能低下リスク上昇のマーカーでもあることを示した――と評価した。
本研究は、帝人ファーマ株式会社の資金提供を受けて行われた。