周産期メンタルヘルスは母子双方の心身の健康に多大な影響をもたらすため,母親の精神的不調の早期発見と早期介入が求められる
「子育て世代包括支援センター」は各市町村の子育て支援のワンストップ拠点として整備され,将来的にはメンタルヘルスケアを要する妊産婦の相談窓口になっていくことが予測される
周産期におけるうつ病のスクリーニングは二項目質問法,エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)が広く用いられている
スクリーニング後の確定診断のためには精神科による診察が必要である
わが国における周産期メンタルヘルスに関する行政の取り組みとして,2001年より母子保健の取り組みを推進する「健やか親子21」が掲げられた。2015年からスタートした「健やか親子(第2次)」は,第2次計画の基盤課題である「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の中,
・市区町村において妊娠届出時にアンケートを実施するなどして,妊婦の身体的・精神的・社会的状況について把握すること
・産後のメンタルヘルスについて妊婦とその家族に伝える機会を設けること
・産後1カ月でエジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale:EPDS)を産後うつ病スクリーニングとして施行し,うつ病を検出するわが国での区分点である9点以上を示した人へのフォロー体制を整備すること
などの具体的な目標が掲げられている。
重点課題として「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」「妊娠期からの児童虐待防止対策」が提示されている。「育てにくさ」とは,子育てに関わる者が感じる育児上の困難感で,その背景に,子どもの要因,親の要因,親子関係に関する要因,支援状況を含めた環境に関する要因など様々な要素を含むが,親の要因のひとつに周産期における精神的不調がある。現在,市区町村において「育てにくさ」を感じる親への早期支援体制の整備,精神疾患合併を含む特定妊婦や要支援家庭,要保護家庭等支援の必要な親に対する様々な支援体制の整備が進められている。