ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正で、ノバ社の元社員と同社が薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)の罪に問われた事件の控訴審初公判が12日に東京高等裁判所で開かれ、即日結審した。判決は11月19日。元社員と同社に対して無罪とした東京地裁の判決を不服として、東京地検が控訴していた。
この問題を巡っては、研究不正が明らかとなった論文データを用いたディオバンの広告が薬事法違反の疑いがあるとして、厚生労働省が2014年1月に東京地検に告発状を提出。これを受け東京地検は、虚偽のデータを研究者に提供し論文を投稿・掲載させた行為が、薬事法第66条1項が規制する「医薬品の効能・効果に関する虚偽の記事の記述」に当たるとして元社員とノバ社を起訴した。
昨年3月の判決で東京地裁は、元社員がディオバン群に有利にするために意図的にデータを改竄したとの検察の主張を認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法が規制する虚偽広告には当たらないと判断し、無罪判決を言い渡した。
12日の控訴審初公判で東京高裁は、検察側、被告人側双方の事実取調請求を却下し、即日結審した。
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