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(1)胃底腺ポリープの臨床的特徴とその意義[特集:胃底腺ポリープに関する最新知見]

No.4931 (2018年10月27日発行) P.28

山道信毅 (東京大学医学部附属病院消化器内科/予防医学センター准教授)

登録日: 2018-10-29

最終更新日: 2018-10-24

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胃底腺ポリープ(FGP)は最も頻度の高い胃ポリープであり,現在のわが国の胃ポリープの約90%を占める。ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染のない胃粘膜の,特に穹窿部~胃角部の大弯側に好発し,若年~中年の女性に多い

病理組織学的には胃底腺上皮の過形成あるいは過誤腫と考えられており,囊胞状拡張を伴うことが特徴である。臨床的には悪性化のリスクは非常に低いが,腫瘍性病変であるという説もあり,議論が続いている

病因は未解明であり,発生機序を考慮した分類として①散発性胃底腺ポリープ(sporadic FGP),②家族性大腸腺腫症(FAP)に伴う症候性胃底腺ポリープ(syndromic FGP),③プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用に伴う胃底腺ポリープ(多発性白色扁平隆起)の3つが知られている。②に関してはがん化のリスクが高いと報告されている

1. 胃底腺ポリープの疫学,発症のメカニズム

胃底腺ポリープ(fundic gland polyp:FGP)は胃粘膜に発生する最も頻度の高い無茎性ポリープであり,萎縮・炎症のない胃粘膜を背景に,穹窿部~胃角部の大弯側に好発する。ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:H. pylori)未感染者に好発する無症状の良性所見である。わが国では,胃X線検査・上部消化管内視鏡検査で,偶然に発見される場合が多い。内視鏡所見では,周囲粘膜と同様の性状を持ち,境界が比較的明瞭な5mm程度の隆起性病変(山田分類Ⅱ~Ⅲ型)として視認される。通常光観察では,正色調~やや発赤調であり,NBI(narrow band imaging)拡大観察では,周囲粘膜と同様の規則正しい腺窩開口部が認められる。病理組織学的には胃底腺上皮の過形成であり,囊胞状拡張を伴うことが特徴である。

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