渡邉 この本は、多忙な日常診療の中、薬の特徴を限られた時間で把握し、作用機序、臨床薬理学的な吸収経路・吸収率、代謝・排泄、血中濃度の変化あるいは効果発現時間・効果持続時間、用法・用量、同種同効薬との違いなどの情報を効率的に入手できるようになっています。
薬剤師の方々も、ドクターが処方した薬をしっかり理解し、必要な情報を患者に届けることが必要になりますので、この本を役立てていただけるのではないかと思います。
イラストを多用し、かなり見やすいつくりにしていますので、医学生、薬学生、看護学生も含め幅広い方々に薬の情報を効率的に入手するテキストとして活用いただけるのではないかと思います。
渡邉 情報共有することでいろいろな意見交換がしやすくなると思いますね。
渡邉 薬物療法の用語で「P-drug」という概念があります。パーソナルドラッグの略で、「自家薬籠中の薬」という意味ですが、個々の臨床医にとって使い慣れた薬というのは実はそんなに多くないのではないかと思います。
使い慣れた薬を上手に使っていくことが、薬物治療の安全性を確保する上で非常に大事で、「この薬はこんな副作用も出る可能性がある」ということもよく理解している臨床医は、患者さんに使うときにチェックを怠りません。この『治療薬の臨床薬理データブック』が、本当に使い慣れている薬、この薬については十分わかっているというP-drugを増やしていくためのリストになればいいなと思っています。