厚生労働省の「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」(座長=永井良三自治医大学長)は9日に初会合を開いた。脳卒中、心血管疾患のうち6疾患について診療実態を把握し、診療情報を活用するためのデータベースを構築する方針。厚労省は、今夏にも報告書をとりまとめる予定だとしている。
厚労省によると、循環器病はがんに次ぐ死亡原因となっている。介護が必要となる主な原因疾患で、医科診療医療費に占める割合は最多。このため、循環器病対策の強化が求められている。
対象疾患について厚労省は、まずは医療計画に規定される脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性心筋梗塞、大動脈解離、心不全(急性・慢性)の6疾患とする考えを提示。診療実態の把握に必要な項目については、診療や公衆衛生の向上の観点から各疾患の特性に応じて設定する必要性を指摘した。
幅広い医療機関からデータを集める場合は項目の簡素化が求められる一方で、より専門的なデータを集めるためには医療機関を限定する必要があることから、林修一郎構成員(奈良県福祉医療部長)は、「縦断的にみるのか、横断的にみるのかを明確にすべきだ」と強調。また羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は、「循環器病患者は長い目でみると、地域の医療機関にかかる。開業医もデータベースの作成に関わっていかなければいけない」との考えを示した。