日本医師会の「医療政策シンポジウム」が13日に都内で開かれ、医師の地域偏在を巡って国内外の有識者が意見を交わした。
地方で働く医師を増やすのに効果的な方策について、世界医師会事務総長のオトマー・クロイバー氏は「地方で働くことの魅力を高める必要がある」と述べ、配偶者の生活や子供の教育などを含めた一体的な環境整備が必要との見方を示した。都市部の医師が地方を“第2のオフィス”として週に数日勤務するなど、医師が地方で働き続けることを経済的に保証する仕組みも有効だとした。
聖路加国際大学長の福井次矢氏は、地方勤務に対する経済的評価について「短期的には(偏在解消に)効果があり、必要だと思う」としつつ、「もっと重要なのは、地域のプライマリケアにやりがいを感じられるマインドセットを早い段階で持ってもらうことだ」と述べ、教育現場の意識変革により、ジェネラリストの養成を進めるとともに公衆衛生に関心を持つ若い医師を増やすべきだと強調した。
日本医師会会長の横倉義武氏は「第一線を退いた後にセカンドキャリアとして地域医療を支える医師が増えるような環境づくりが必要だ」と述べ、定年後の「セカンドキャリアとしての地域医療」を唱えた。
人口問題を専門とするジャーナリストの河合雅司氏は「これからはあらゆる部門で人手不足が深刻化する。医療の担い手が足りないから医療従事者を増やすことは今後ますます困難になる」と指摘し、医療の受け手となる患者・国民の集住化を進めることで、医療提供体制の縮小と医師偏在をカバーする「発想の逆転」を訴えた。
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