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急性中毒患者への適切な初期対応は?

No.4953 (2019年03月30日発行) P.61

織田 順 (東京医科大学救命救急センター主任教授)

小野寺 誠 (福島県立医科大学地域救急医療支援講座教授)

登録日: 2019-04-01

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  • 中毒をきたす物質は,自然毒,洗剤や農薬などの薬剤,医薬品など実に様々です。またこれらに曝露するきっかけも不慮の事故,自傷,犯罪などいろいろなケースがあります。その一方で必ずしも中毒診療に詳しい医師が対応できるとは限りません。そこで,決して少なくない急性中毒患者への適切な初期対応についてご教示頂きたいと思います。福島県立医科大学・小野寺 誠先生にお伺いします。

    【質問者】

    織田 順 東京医科大学救命救急センター主任教授


    【回答】

    【初期対応で安定したあとでも全身状態の変化を見逃さないことが大切】

    救急医療現場における初期対応には,急性中毒疾患に限らず2つの大きな目標があります。第一はABCアプローチで生命の危険を察知しバイタルサインの安定化をめざすこと,第二は原疾患の鑑別と根本治療を進めることです。

    第一のABCアプローチでは,気道(A:airway),呼吸(B:breathing),循環(C:circulation)の順に全身状態の評価を行い,異常を認めれば適切な処置を迅速に行います。たとえば,舌根沈下や誤嚥に対して,必要であれば気管挿管の上で人工呼吸器管理とします。また,心毒性による急性心不全や致死性不整脈など循環が破綻している場合には,除細動や体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)の導入を考慮します。

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