日本糖尿病学会は5日、「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」を改訂し、ウェブサイトに掲載した(http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/recommendation_metformin.pdf)。6月にメトホルミン製剤・メトホルミン成分を含有する配合錠の添付文書改訂が行われたことから、乳酸アシドーシスに関する注意点の記載をアップデートした。同Recommendationの改訂は16年5月以来、3回目。
Recommendationでは、ビグアナイド薬の投与により乳酸アシドーシスが発現した症例に多く認められた特徴として、①腎機能障害患者(透析患者を含む)、②脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態、③心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、④高齢者―の4つを列挙。さらに、高齢者だけでなく、比較的若年者への少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されていることを注意喚起した。
その上で、「経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提」と強調するとともに、メトホルミン製剤の使用に当たっては、腎機能を推定糸球体濾過量eGFRで評価する必要性を指摘。具体的には、「eGFRが30(mL/分/1.73m2)未満の高度腎機能障害の患者ではメトホルミンは禁忌」「eGFRが30~45の場合にはリスクとベネフィットを勘案して慎重投与」など、乳酸アシドーシスのリスクが高い患者に対する留意事項を記載している。