睡眠時無呼吸の治療には,第一選択の持続的気道陽圧法(CPAP)以外にも,口腔内装置(OA),減量・生活指導,酸素療法,手術,姿勢療法などがあり,CPAPに至らない場合や,もしくはCPAP不耐の場合の代替の可能性を念頭に置いておく
OAは,CPAPの適応とならないような軽症から中等症の患者において第一選択となりうる
減量は,肥満のある患者では特に有効で,CPAP治療とは別に,指導・対策は進めていくべきである
耳鼻科や顎顔面外科手術などのほか,わが国ではまだ,エビデンスが乏しく積極的に実施されていないが,舌下神経刺激療法が新規治療法として有望と考えられる
持続的気道陽圧法(continuous positive airway pressure:CPAP)は閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の第一選択治療であり,わが国でもその使用者数は年々増加しており,現在約50万人に至る。しかし,なかには,CPAP不耐であったり,アドヒアランスの悪い患者や中止・脱落群が一定数存在するし,器機の仰々しさやメンテナンスを含めた手間もあり,必ずしも満足に受け入れられていない部分もある。また,CPAPは軽症から重症の患者で有効であるが,保険診療上は無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)が20以上の縛りもあり,すべての睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)患者がCPAPを享受できるわけではない。より簡便な治療や,根本的な治療,個々の病態に合わせた柔軟な治療を求める声も根強い。医療者側も,CPAP治療を導入することだけに満足せず,治療の質を高めるために,補助的治療や日常生活指導にも気を配ることが大切である。