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EBM〈診断〉─所見の感度・特異度を理解して,診断の一助にしよう[プライマリ・ケアの理論と実践(34)]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.8

矢吹 拓 (国立病院機構栃木医療センター内科医長)

登録日: 2019-10-10

最終更新日: 2019-10-09

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SUMMARY
疾患の治療だけでなく診断においてもEBMを活用することが可能である。その場合,各疾患に対する病歴や身体所見,各種検査の感度・特異度を十分理解しておく必要がある。感度の高い所見は疾患除外に,特異度の高い所見は確定診断に用いることができる。それらを組み合わせ,さらに診断精度をあげようとする試みが臨床予測ルール(clinical prediction rule)である。

KEYWORD
臨床予測ルール(Clinical Prediction Rule:CPR)
複数の感度・特異度の高い所見を組み合わせてつくられたスコアやルールであり,組み合わせることで診断精度を高めることができる。


矢吹 拓(国立病院機構栃木医療センター内科医長)

PROFILE
2004年群馬大学卒業。国立病院機構東京医療センターで総合内科の後期研修を行う中で勉強会を通してEBMと出会う。当初は面倒で大変な印象だったが,徐々に日常診療になくてはならないものに変わりつつある。日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医,日本内科学会総合内科専門医・指導医

POLICY・座右の銘
普通の医者になる


1 診断においてEBMをどのように活かすか

日本プライマリ・ケア連合学会のEBMプロジェトチームがお届けするプライマリ・ケアにおけるEBMの実践特集。今回は診断においてEBMをどのように活かすかについて虫垂炎疑いの症例を基に皆様と一緒に考えてみたい。

2 症例

心窩部痛を主訴とする65歳男性が無床診療所の一般外来を受診した。受診2日前から心窩部痛が出現し,その後悪心と食欲低下を伴った。診察では体温37.4℃,腹部診察では心窩部と右下腹部に圧痛はあるが,腹膜刺激症状はなし。血液検査では白血球12000μg/mL,CRP値は正常だった。

本患者で,虫垂炎を疑った時に診断においてEBMをどのように活用できるだろうか?

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