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サルコイドーシスの原因としてアクネ菌の関与はどれくらい解明されているか?

No.4984 (2019年11月02日発行) P.51

尾長谷 靖 (長崎大学医学部呼吸器内科准教授)

江石義信 (東京医科歯科大学人体病理学教授)

登録日: 2019-11-01

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  • サルコイドーシスの原因として,アクネ菌の関与はどのくらい解明されているのでしょうか。
    東京医科歯科大学・江石義信先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    尾長谷 靖 長崎大学医学部呼吸器内科准教授


    【回答】

    【アレルギー性内因性感染症の疾患概念が基盤となっている】

    わが国では,サルコイドーシス(以下,サ症)の原因究明を目的に1978年に旧厚生省難病研究班が結成され,細菌・ウイルス・真菌などすべての微生物を想定して,専門家による分離培養が行われました。その結果,サ症リンパ節からアクネ菌が約8割の症例で分離培養され,その他の微生物は結核菌を含めまったく検出できませんでした。ところが,他疾患からも約2割の症例で本菌が分離されたことから,微生物学的な観点からこれを原因細菌と確定するには至りませんでした。

    1999年にリンパ節のアクネ菌DNA定量結果がランセットに報告され,諸外国の注目が集まりました。すなわち,本菌は深部組織に潜伏感染しており,サ症病変部では本菌の異常な菌増殖が起こっている可能性が疑われました。2012年には北米病理学会誌にアクネ菌特異的なPAB抗体による免疫染色の結果が日独共同で報告されました。サ症肉芽腫内にアクネ菌が検出されるという組織学的所見は,本菌が肉芽腫形成の原因細菌であることを示す最も有力な証拠となります。

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