【吸入時には舌根を下げることが効率的な吸入効果につながる】
正しいデバイス操作がなされていても,視覚では確認できない口腔内の状況,特に舌の位置の違いについて着目した。内視鏡を用いて撮影し検討したところ,舌根を下げて吸入したほうが,より多くの薬剤が気管に到達することが確認された1)~3)。これを忙しい診察の時間に患者に説明するのが困難であるため,短時間で患者に理解させるために以下の方法で説明している。口の中に「薬の通り道を作る」イメージである。
①「ホー」の発音をさせ,口腔内をスペーサーのようなドーム状にするイメージをマスターしてもらう(理解しにくい場合は,自分の口蓋垂がみえるまで手鏡を使って指導するのも効果的である)
②息を吐いてから,うつむかないように顔を上げて
③デバイスを咥え,吸入口の下に舌を入れる(吸入口の先端に舌を引っ掛けないと下がりにくい)
④心の中で「ホー!」と思いながら大きく吸ってもらう
⑤喉に空気が直接に当たる感覚を掴んでもらう
⑥テスターで,音が十分に鳴るまで練習してもらう(デバイスに適した速度で)
これはすべての吸入薬に共通したテクニックで,患者に理解してもらえば,より効率的に薬剤が気管内に到達し,薬効が最大限に得られると考える。
【文献】
1) Yoshida T, et al:J Allergy Clin Immunol Pract. 2019;7(2):743-5, e1.
2) Horiguchi T, et al:J Allergy Clin Immunol Pract. 2018;6(3):1039-41, e3.
3) Yokoi T, et al:J Allergy Clin Immunol Pract. 2019;7(5):1668-70.
【解説】
堀口高彦*,近藤りえ子 藤田医科大学呼吸器内科学Ⅱ講座 *教授