致死性不整脈予防のために,β遮断薬の内服や誘引を避ける生活指導が治療の中心となる
一部では疾患の遺伝子型と表現型が関連するため,治療方針は遺伝子型も考慮して決定する
QT延長症候群(long QT syndrome:LQTS)には,主に学童期などの若年から指摘される「先天性LQTS」と,比較的年齢が高くなり薬物使用や徐脈に伴い発症する「後天性(二次性)LQTS」がある。LQTS患者に対する治療は多形性心室頻拍(torsades de pointes:TdP)発作時の「急性期治療」と,通常(非発作時)の「予防的治療」がある。急性期治療ではQTを延長させる誘因の除去や,静注薬物治療,一時ペーシングなどが有効である。一方,予防的治療の中心は生活指導,β遮断薬を中心とした薬物治療ならびにデバイス治療がある。先天性LQTSでは遺伝子型や遺伝子変異の部位によって表現型(QT延長の程度)や心事故のリスクが異なり,年齢や性別でもリスクは変化するため,患者ごとのきめ細かいリスク評価と治療法の選択が必要である1)。