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食道癌に対するminimally invasive esophagectomy(MIE)

No.4994 (2020年01月11日発行) P.47

押切太郎 (神戸大学食道胃腸外科講師)

登録日: 2020-01-10

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【MIEの現状と今後の展望】

1992年にCushieriが胸腔鏡下食道切除を報告して以来,体腔鏡による低侵襲食道切除術(MIE)は,この四半世紀で世界に広く普及した。日本外科学会を基盤とする外科系諸学会が協力して立ち上げたNational Clinical Database(NCD)のデータ解析によると,わが国でのMIE導入期に当たる2011年は,開胸・開腹群に比べMIE群で呼吸器合併症は減らず再手術が多いという結果であったが1),習熟期を経て現在は半数以上でMIEが行われ,手術死亡率は減少傾向にある2)

低侵襲手技として安定してきた感のあるMIEに,次に課せられる期待は腫瘍学的な予後の改善であるが,呼吸器合併症をはじめとする術後合併症が食道癌の予後因子になることが多数報告されてきた3)。その理由として,術後合併症による患者の免疫機能低下等が考えられる。

食道癌手術においては,術後の誤嚥性肺炎の原因のひとつに郭清に伴う反回神経麻痺が挙げられ,反回神経麻痺の回避が肺炎,ひいては腫瘍学的予後の改善につながる可能性がある。18年より,保険収載されたロボット支援下胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術は,費用と時間がかかるといったデメリットもあるが,最大の利点である手ぶれ補正機構と多関節鉗子によって繊細な操作が可能となり,反回神経麻痺の軽減に期待が寄せられる。今後の展望として,MIEのさらなる発展によって術後の低侵襲性のみならず予後の改善が期待される。

【文献】

1) Takeuchi H, et al:Ann Surg. 2014;260(2):259-66.

2) Kakeji Y, et al:Ann Gastroenterol Surg. 2017;2 (1):37-54.

3) Baba Y, et al:Ann Surg. 2016;264(2):305-11.

【解説】

押切太郎 神戸大学食道胃腸外科講師

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