関節リウマチ(RA)の病変の主座である滑膜炎の評価に関節エコーは優れている
関節エコーによる滑膜肥厚および血流シグナルの重症度が高い滑膜炎あるいは骨びらんを伴う滑膜炎は,RAの早期診断に有用な「RAらしい」所見である。DIP関節炎,骨棘,結晶沈着,付着部炎など「RAらしくない」所見も参考に臨床情報と併せて包括的に鑑別することが重要である
関節エコーによる滑膜炎は疾患活動性をよく反映する。また,関節エコーは利便性・客観性も高いことから,RAの治療モニタリングに有用である
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,滑膜を炎症の主座とする慢性かつ進行性の炎症性疾患である。滑膜炎が持続すると関節破壊が進行し,機能障害によりADLが著しく障害される。RAの発症には,環境因子や遺伝因子が相互に作用し引き起こされた免疫異常が関与する。実際にリウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)や抗シトルリン化蛋白抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody:ACPA)といった自己抗体は70〜80%の症例で陽性であり,RAの診断にきわめて有用なバイオマーカーである。
現在,RAの診断に広く用いられている2010年RA分類基準1)を図1に示す。この基準は早期RAを焦点におき,びらん性関節炎を起こす可能性が高い慢性滑膜炎を有する患者を早期に分類し,抗リウマチ薬(特にメトトレキサート)を中心とした治療を導入することを目的に勘案されている。他疾患の除外が不可欠であるが,スコアリングには自己抗体(RF・ACPA)や急性期蛋白〔C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)・赤血球沈降速度(erythrocyte sedimentation rate:ESR)〕といった血液検査以外に臨床的な滑膜炎の評価が重要である。
RAの画像診断としては,単純X線が最も基本となる画像検査であり,RA関節破壊の進行を評価する上では現在もゴールドスタンダードである。しかし,炎症の検出能は乏しいため,RAの早期病変の検出や活動性の評価には適していない。一方,関節エコーは滑膜炎や骨びらんの検出に優れており,RAの早期診断や活動性評価において有用性が非常に高い2)3)。また,関節エコーは非侵襲的であり,複数の関節を繰り返し評価することができ,安価でもあるため,汎用性がきわめて高い。