下部尿路結石(膀胱結石,尿道結石)は尿路結石全体の約5%を占める。罹患率は漸増しており50歳以上,特に80歳以上の高齢者に多く発症する。男女比は約4.5:1,かつ高齢男性で増加傾向にある。結石成分は男性で感染結石(リン酸マグネシウムアンモニウム)が減少してカルシウム結石が増加傾向にあるが,女性では感染結石が増加している1)。
膀胱結石の2/3は頻尿,残尿感,排尿時痛,尿線の中断など何らかの下部尿路症状を有し,1/3は無症状である。
多くは腹部エコー,腎尿管膀胱部単純X線撮影(kidney ureter bladder:KUB),CTなどの画像検査で,20%弱が膀胱鏡検査で診断される。
尿路感染症に起因する感染結石はX線透過度が高く,KUBでは淡い結石陰影となる。CTは尿酸結石などX線透過性結石の診断と結石成分の推定に加え,膀胱憩室や腫瘍などの情報が得られる。
結石が形成された成因を分類して,結石の除去後に基礎疾患を治療する。
前立腺肥大症,前立腺癌,神経因性膀胱などの残尿を生じる排尿障害,尿路感染症,尿道留置カテーテルなどが原因で生じる。
膀胱に下降した上部尿路(腎・尿管)結石が下部尿路通過障害により,排出されずに生じる。
外科的治療が適応となり,経尿道的膀胱結石砕石術が第一選択となる。手術前に尿培養検査を行い,菌株と抗菌薬の感受性を確認する。
体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shockwave lithotripsy:ESWL)による治療も可能ではあるが,保険適用外となる2)。
砕石位を取れない場合は,経尿道的膀胱結石砕石術は相対的禁忌である。
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