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【追悼】小児科医・川崎富作さん―全身の血管に炎症「川崎病」を発見

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  • 「誰言うとなく“川崎病”なる名称がつけられ、通称されている」 (日本医事新報1976年6月26日号 川崎富作ほか「いわゆる川崎病について」より抜粋)

    はじめに

    いわゆる川崎病の本名は、“指趾の特異的落屑を伴う小児の急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群”という長い病名だが、長すぎるので次第に略され、最近では“MCLS”の略称が医者仲間で通用している。しかし親達にはこの病名ではピンとこないので、誰言うとなく“川崎病”なる名称がつけられ、通称されているのが現状である。しかし、この病名も一般には、川崎市の公害病と混同されている向きが多い。

    そこで、本症の特徴を要約すると、本症は主として4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の急性熱性発疹性疾患で、大部分の症例は治癒するが、一部に冠動脈血栓症で死亡したり、冠動脈瘤などの後遺症を残すことがあり心筋梗塞を起こしうる小児の新しい心臓病として小児科領域で注目されている。

    本症は昭和43年頃より年々増加の傾向にあり、現在までに我が国で既に1万例を超す症例が経験されている。昭和45年度より厚生省の研究費による本症研究班が発足し、疫学、病因、病理、臨床の各方面にわたる総合研究が続けられ多くの新知見が得られてきたが、未だに原因が不明なので早急に病因を解明し、不幸な子どもの発生を防止する対策の確立が望まれている。

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