成人に発生する好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis:EGE)は,免疫系の異常により生じる腸管炎症と考えられているが,その詳細な発生機序は明らかになっていない。好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)とともに好酸球性消化管疾患に分類され,厚生労働省の指定難病になっているが,EGEとEoEの病態は異なるものと理解されている。本症の治療には副腎皮質ステロイドを用いるが,ステロイド抵抗例や依存例もあり,治療に難渋することもしばしばある。
アレルギー素因を有する患者に,腹痛,下痢などの腹部症状が出現した場合,本症を疑い診断指針をもとに精査を進める(表)1)。末梢血において好酸球増加を認めない例もあるため,実際の診断には消化管内視鏡検査による生検診断が重要な要素となる。EGEは,胃から大腸まで,病変罹患範囲は広範で多彩であるが,小腸に病変がある例も多く,ダブルバルーン内視鏡を用いた組織検査が診断に重要となる。ただし,生検組織で好酸球浸潤を認めても,それのみでEGEと診断してはならない。粘膜固有層に好酸球浸潤を伴う疾患は多くあり,潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患,寄生虫疾患などの感染性腸炎,Churg-Strauss症候群などの全身性アレルギー疾患,膠原病に伴う消化管病変など,他疾患を慎重に鑑別していくことが重要である。さらに,炎症の首座が漿膜側に存在する場合は,生検組織に好酸球浸潤が目立たない場合もある。CTなどの画像診断で腸管壁肥厚を証明し,鑑別診断を進めていく。
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