円形脱毛症は,成長期毛包に対する細胞傷害性T細胞による自己免疫反応に起因する脱毛症である。軽症例もあれば再発を繰り返したり,頭髪のみならず全身に脱毛症状が及び難治化したりする症例もある。親子例や兄弟姉妹例もあり,遺伝的背景を示唆する症例もみられる。また,自己免疫性甲状腺疾患など,他の自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎を合併することがある。
男性型脱毛症は,メタボリックシンドロームの合併頻度がやや高い。男性ホルモンの影響によって,頭頂部や前頭部の頭髪の成長期が短縮することで薄毛が生じる生理的な状態で,一度始まると徐々に進行する。
円形脱毛症:単発型,多発型から全頭型,汎発型,蛇行型,急性びまん性全頭性などが挙げられる。脱毛部位にやや紅斑や瘙痒を伴うことがある。爪甲の陥凹がみられることがある。
男性型脱毛症:前頭部から頭頂部に軟毛化がみられる。重症度分類のひとつにハミルトン・ノーウッド分類がある。
円形脱毛症:ダーモスコピーで感嘆符毛,漸減毛,黄色点,黒点が観察される。血液検査で甲状腺自己抗体や抗核抗体,抗DNA抗体,梅毒反応などを確認する。皮膚生検(横切断,縦切断)で毛包周囲の炎症細胞浸潤を確認する。
男性型脱毛症:ダーモスコピーでは終毛と軟毛の混在した毛径の多様性,毛孔周囲の色素沈着などを確認する。女性において著しい症状がみられた場合には,男性ホルモンの測定を行い,多囊胞性卵巣症候群などを鑑別する。
日本皮膚科学会のガイドライン(2017)1)2)を参考に,円形脱毛症は,脱毛範囲や病勢をふまえた治療選択を行う。男性型脱毛症は,本人の希望をふまえて内服と外用の選択を行う。
15歳以下の円形脱毛症患者には,紫外線治療やステロイド全身投与は原則行わない。
男性型脱毛症では,妊娠可能な女性に対してフィナステリド,デュタステリド内服は禁忌である。
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