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症候性の急性期脳梗塞,神経変性疾患における気血水スコアを用いた証の考察と提言

No.5033 (2020年10月10日発行) P.49

溝井令一  (埼玉医科大学脳神経内科・脳卒中内科講師)

田中耕一郎  (東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授)

登録日: 2020-10-07

最終更新日: 2020-10-06

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 【急性期脳梗塞では瘀血,神経変性疾患では血虚との関連性が最も高く,駆瘀血剤,四物湯類を標準治療に併用することが有用な治療法となる可能性が期待される】

漢方薬は随証治療が本来の使い方だが,症状によってエキス製剤を処方する病名漢方治療が実地臨床では大半を占める。診療ガイドラインにも有効性が記載されるようになった。

筆者らは神経疾患の患者に対し気血水スコア1)を用いて証を検討した。随証治療で証の弁別が方剤の選択という治療に即決することに倣った。

入院を必要とした223例全例において気虚,気鬱,気逆,血虚,瘀血,水滞の6項目を同時に評価した。130例の急性期脳梗塞2),74例の神経変性疾患(パーキンソン病38例,多系統萎縮症17例,筋萎縮性側索硬化症19例)3)を各々対象として,残りの疾患を比較対照とした。6項目相互の影響と背景因子(年齢,性別,重症度)を多変量解析により補正して,各疾患に共通する証と重みづけを推測した。症候性の急性期脳梗塞では瘀血(調整済みオッズ比4.60),神経変性疾患では血虚(調整済みオッズ比3.02)が最も関連性の高い証だった。前者では駆瘀血剤(桂枝茯苓丸など),後者では四物湯加減の方剤を標準治療に併用することが有用な治療法として期待される。

【文献】

1) 寺澤捷年:症例から学ぶ和漢診療学. 第3版. 医学書院, 2012,p15-72.

2) 溝井令一, 他:日東洋医誌. 2018;69(4):321-7.

3) 溝井令一, 他:日東洋医誌. 2019;70(1);1-7.

【解説】

溝井令一  埼玉医科大学脳神経内科・脳卒中内科講師

田中耕一郎  東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授

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