【質問者】
土肥 統 京都府立医科大学消化器内科学
【インジゴカルミン散布または画像強調観察で範囲診断を行い,遺残なく切除する】
SSA/Pはその疾患概念が提唱されてから歴史が浅く,最新のWHO分類ではSSL(ses-sile serrated lesion)と称されています1)。治療適応や切除後のfollow upに関しては,エビデンスが少ないため一定のコンセンサスが得られていません。腫瘍・非腫瘍の議論は尽きぬものの,大腸癌発生におけるserrated pathwayとして注目されており,右側結腸に多く発見されることよりinterval cancerの一因である可能性も示唆されています2)3)。
SSA/Pは正常粘膜との境界が不明瞭であり,発見が困難であることが多いため,粘膜下層の血管透見像が消失した領域に着目し,局在診断を行います。腫瘍表面に付着した粘液や便汁も発見の一助となり,インジゴカルミン散布や画像強調観察〔NBI(narrow band imaging)/BLI(blue laser imaging),LCI(linked color imaging)等〕を併用することで範囲診断が容易になります。腫瘍径が小さいものは検出が困難であり,比較的大きくなってから発見されることが多いとされています。褪色調の平坦病変を呈し,過形成性ポリープとの鑑別が困難な場合がありますが,色素内視鏡観察下の拡大観察における開Ⅱ型pitや鋸Ⅳ型pitの存在が診断に有用です。非拡大観察においても狭帯域光観察(NBI/BLI)を行うと,開大した腺開口部が通常の腺開口部に混在し,大小ふぞろいに認識されます。ⅤⅠ型pitの混在を認めた場合にはdysplasiaやがんの存在が疑われ,内視鏡治療の選択は慎重に行う必要があります。
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