尿道炎は男性の性感染症の代表的疾患である。淋菌,クラミジア,マイコプラズマ,ウレアプラズマが主な原因微生物であり,これらの混合感染も少なくない。保険診療上,後二者は検査ができないので,淋菌が原因菌となる淋菌性尿道炎とクラミジアが原因となるクラミジア性尿道炎,淋菌,クラミジア以外が原因となる非クラミジア性非淋菌性尿道炎に分類される。
淋菌性尿道炎では20~30%に,クラミジア性尿道炎では数%に症状のない咽頭感染を併発している。淋菌性尿道炎とクラミジア性尿道炎は,感染症法では5類の定点報告疾患で,2002年以降減少傾向にある。
尿道からの排膿,尿道分泌物,排尿痛がある。淋菌性尿道炎では膿性の尿道分泌物であり症状は強く,それ以外では尿道分泌物は漿液性で症状も軽微である。性交渉後,淋菌性尿道炎では3~7日後,それ以外の尿道炎では7~14日後に発症する。口腔性交でも感染する。
初尿(出始めの20mL程度)の尿沈渣では10個/HPF以上の白血球を認め,核酸増幅法で淋菌,クラミジアを同定する。淋菌性尿道炎の場合,尿道分泌物のグラム染色で白血球の胞体内の淋菌(グラム陰性双球菌)を認め,迅速診断として有用である。マイコプラズマとウレアプラズマは,核酸増幅法での診断が可能であるが,保険適用外である。
日本性感染症学会の「性感染症 診断・治療ガイドライン2016」1)に基づき治療を行う。再感染予防のための性的パートナーの診断・治療が重要である。
初尿の核酸増幅法による淋菌,クラミジアの結果を得るのには数日かかり,患者にはその結果を確認するための再診を強く指導するが,実際の再診率は低い。
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