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わが国の皮膚リンパ腫の近年の動向について

No.5050 (2021年02月06日発行) P.57

神谷浩二 (自治医科大学皮膚科准教授)

藤井一恭 (鹿児島大学医学部皮膚科学診療准教授)

登録日: 2021-02-07

最終更新日: 2021-02-03

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  • 皮膚リンパ腫は稀な疾患群ですが,わが国でも全国症例数調査によってデータが集積されてきました。ここ最近のデータからわかってきたことについてご教示下さい。
    鹿児島大学・藤井一恭先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    神谷浩二 自治医科大学皮膚科准教授


    【回答】

    【菌状息肉症が最も頻度が高いが,近年ではB細胞系リンパ腫の頻度が増えている】

    皮膚リンパ腫は一般に皮膚に原発する悪性リンパ腫のことを指し,リンパ節など他臓器に原発したリンパ腫の皮膚浸潤は省きます。リンパ節以外に原発するリンパ腫としては胃についで2番目に多いとされています。単一の疾患ではなく,10以上の亜型を含んだ多様性に富む疾患群です。亜型ごとに治療法や予後が異なるため,診断,治療にあたってはどの亜型かはっきりさせる必要があります。

    皮膚のリンパ腫に関しては,発生頻度やどの亜型が多いかなどについて人種差,地域差があることが指摘されています。わが国における皮膚悪性リンパ腫の現状を明らかにすることを目的として,日本皮膚悪性腫瘍学会では2008年から日本皮膚科学会の研修施設(約650施設)にアンケート調査を行っています。この調査は前年に新たに診断がついた皮膚リンパ腫について登録して頂くもので,近年では例年30%超の施設から回答を頂き,この数年は400例超の新規診断患者を登録して頂いています。

    2013年から2018年までにご登録頂いた約2000例(診断は2012年から2017年)の解析1)では,最も頻度が高いのが菌状息肉症で全皮膚リンパ腫の48%を占め,これは世界共通の現象です。ついで皮膚原発CD30陽性T細胞増殖性疾患(9%),皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,下肢型〔PCDLBCL,LT(primary cutaneous diffuse large B-cell lymphoma,leg type)〕(9%),成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATLL;皮膚のみに病変を持つタイプ)(7%)の順となっています。

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