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食道胃接合部癌の手術治療,特に至適リンパ節郭清範囲について

No.5053 (2021年02月27日発行) P.50

亀井 尚 (東北大学病院総合外科教授)

竹内裕也 (浜松医科大学外科学第二講座(消化器・血管外科学分野)教授)

登録日: 2021-02-24

最終更新日: 2021-02-24

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  • 近年,食道胃接合部癌が増加しています。腫瘍の局在,深達度,組織型などで胸部,腹部の至適リンパ節郭清範囲をどのように考えたらよいか,また低侵襲な術式(切除,再建)についてもご教示下さい。
    浜松医科大学・竹内裕也先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    亀井 尚 東北大学病院総合外科教授


    【回答】

     【リンパ節の郭清範囲では腫瘍中心,組織型,腫瘍深達度や食道浸潤長を考慮する】

    食道胃接合部癌手術では,リンパ節の郭清範囲に応じて食道および胃の切除範囲が決まり,胸部食道癌に準じた食道切除術から噴門側胃切除術(+下部食道切除),胃全摘術(+下部食道切除)まで様々な術式が選択肢となります1)

    日本胃癌学会と日本食道学会は合同で長径4cm以下の食道胃接合部癌(西分類)におけるリンパ節転移について全国調査を行い,2001~10年の手術症例2807例のリンパ節転移頻度と郭清効果指数について後方視的に解析しました2)。この結果に基づいて推奨するリンパ節郭清範囲に関する暫定的なアルゴリズムが策定されましたが,このアルゴリズムでは腫瘍中心の局在(食道側/胃側),組織型(扁平上皮癌/腺癌),腫瘍深達度(cT1/cT2以深)が分枝項目となっています3)。腫瘍中心が胃側にある場合には縦隔リンパ節郭清は必要とされず,食道側にある場合に下縦隔郭清が推奨されています。さらに,扁平上皮癌ではcT1で中縦隔,cT2以深で上縦隔までの郭清が推奨されています。

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