気胸は胸腔内に空気が貯留した病態である。原因別により原発性と続発性気胸のほか,外傷性気胸,医原性気胸などに分類される。
気胸の発症時は咳嗽など気道過圧の病歴を伴う場合があるが,安静時にもしばしば発症する。気胸の発症後,患側の胸部痛,労作時の呼吸困難症状を生じる。軽症の場合は無症状で,検診の胸部単純X線検査で偶発的に発見されることがある。
胸部画像検査で,肺の辺縁と胸壁の間に血管陰影のないスペースが認められれば診断がつく。同時に肺の虚脱の程度や基礎疾患の有無について評価する。胸膜癒着や基礎疾患により肺が硬化している症例ではCT検査が有用である。
胸部単純X線検査にて肺尖が鎖骨レベルより頭側にある軽度の場合,安静にて経過観察を行う。鎖骨レベルを超えて肺が虚脱する中等度,全虚脱あるいはこれに近い高度の場合,胸腔ドレナージが必要である1)。安全な穿刺部位は,仰臥位で第2肋間鎖骨中線上である。
ドレーン留置後1週間以上,空気の漏れ(エアリーク)が遷延する,あるいは持続吸引ドレナージにて十分な肺の再膨脹が得られない場合,手術治療について呼吸器外科医に相談する。手術適応にない症例は,胸膜癒着術や気管支塞栓術を検討する。
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